携帯電話を新しくしようと思って、街へ出た。いまの機種は3年近く使用していて、本体にひびが入ったり薄く汚れていたり、電池の持ちが悪くなっていた。もうそろそろ変えた方がいいだろう。
３年、という日々を思うと不思議な感じがある。それまではおよそ1年から2年ほどで変更していた筈で、また、新機種が出ると、店頭にどんなものかと買うでもなく見に行ったり、カタログを繰ったりしていた。それがここ数年はそんな気持ちにはならず、興味を失していた。それは多分、時代の変化もあるし、自分の変化もある。一時期までの携帯電話の進化のスピードは著しいものがあったし、そうしたモノへの興味が多分にあったのだ。
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薄暗いホームで電車が来るのを待っていた。節電、ということなのだろうけど、これはこれで十分だと思った。駅に限らず、これまでが明るすぎた。ただ、エスカレーターが止まっているのには、何とも言えないものを感じた。常時動かしている必要もないだろうけど、妊婦や、足が不自由な人からしたら、何もここまで、と思うかも知れない。エレベーターは動いていたが、どこにあるのかわかりにくい。
車内は非常に混雑していた。皆、街に何をしにいくのだろうか。車内も消灯していて、次の駅のホームに入っていくときは車内が暗くなった。皆、一様に押し黙って揺られている。妙な感じがあった。
街は街で、人で溢れていた。皆、何を求めて出てきたのか。一週間前は、もう少しまばらだった様な気がする。反動、なのかも知れない。節電とか買い控えとか、自粛とか、被災地を思って云々、そういった事柄は、理念としては嫌いじゃないが、ファッションというかムード、という気がして居心地が悪かった。多分、時期が来ればこういうことも皆、忘れてしまうのだろう。中にはそうでない人もいるだろうけど、多くの人は、きれいな恰好をしたいし、おいしいものを食べたいし、楽しいことをしたいのだ。欲望を知ってしまったら、そこから抜け出すのは容易なことではない。意識的にしろ無意識的にしろ、なんとなく自粛をしなければならないムードによって押さえつけれた欲望は、じきに溢れ出す。
ただ、まだそういうムードは有効だから、開けっぴろげには出来ず、何となく気まずいというか、アンビバレントな表情が多く見られた。でも、その気まずさすらも、じきに薄まっていくのだろう。
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物欲が強い、と言われたことがある。確かに、それは否定しない。最近の携帯電話への興味は薄れていたが、Appleの製品やカメラなんかについてはわりあい気にしていて、チェックしている。モノ、というものに興味があるのだ。
欲があるのは悪いことではないと思う。欲によって動いていく何か、それは確かにある。無欲とか無我とか、そういう境地にも興味はあるのだけど、まだそこにいくのは早い気がしている。でも、そういうことと、控えめになること、というのは矛盾しない。エコとか、なんとか。過剰なものがいけないのであって、無理なくそれらが共存していけばいいのだろうけど、それには頭を使って、ひとつひとつ判断していくこと。そういうことが大事なんじゃないのかな、そんなことを、コーヒーを飲みながら考えた。
2 comments:
３／２１のオダさんのブログを読んで、私はなぜか心に大きな引っ掛かりを感じました。
それが一体何なのか自分でもよくわからないまま、ぐるぐるずっと考えてました。
少し時間を置いてみようと数日が経ち、そして今日に至ります。
個人の考えを発信する場で何をどう捉えどう表現するかはその人の自由だし、それを読んだ人間がどう受け止めたのかをいちいち発信側に伝えなくても、それは自分の中で消化するべきで、わざわざこんなふうに時間と手間をかけて…とも思いましたが、それでもよくよく考えた結果、こうしてコメントを出してみることにしました。
たぶん出さないことにはこの気持ちは収まるべきところに収まらないし、それなら自分のブログやＳＮＳのページなどでやんわりぼやかしつつ吐露してもいいのでしょうが、それは関係のない人を意味なく巻き込む迷惑な行為だし、この気持ちは、相手の見えない自分が安穏としていられる場所ではなく、直接起因する場所に返すべきものなのではないかと思い直し、迷いつつもこうしてキーを叩いてます。
人は、本当のことをずばり指摘されることが一番こたえるのだと思います。
そしてそれを冷静に見つめられれば見つめられるほど、背中にひやーっとしたものが流れるのだと思います。
twitterのリツイートのこと、地震へのメッセージのこと。
自分としては、それは何の考えもなしにただ流されて取った行動ではないつもりだけど、映像や情報に感化されたのは間違いないことだし、確証なしに自分の受け取った情報を他人に流してしまったことは軽率だったなぁ、と反省する良い機会をいただきました。
流されず、一度立ち止まって自分なりに考えてみる。
オダさんのそういう一貫した姿勢、冷静な思考はある部分ではとても意味深く大切なことだと思います。
でも今回はブログの中で指摘されていることの一部が自分の行動に当てはまるということを割り引いても、ちょっと意地が悪いなぁというか、いささかひねくれた見方で物事をくくってるように感じられました。
まるで流れに逆らって反対の場所に立つために、あえて言葉を探し出して理由づけしてるような、そんな印象を個人的には受けました。
気分を害されたらすみません。
ただ、今回の地震はニュージランドの地震やほかの陰惨な事件とは一線を画す全く別物だと私は考えます。
何がどう違うのかは、今はまだ上手く説明できません。
命が奪われてしまったという点で考えればどれも同じことなのかもしれません。
でもそれは規模とか距離の問題を超えて、大きく大きく違うことのように感じます。
心に落ちた影の大きさという意味合いにおいても。
でもだからといって、考えを改めてほしいとか書いたものを訂正してほしいとかそういう気持ちは、当たり前ですが一切ありません。
ブログに書かれたことは率直なひとつの見方であり、意見であり、オダさん自身が書いておられるように、それが「培ってきた持ち味」であると思うので。
ただ、「読んでいい気分になるもの」を目指していて、これからも「他者を意識」しながらこういう場で文章を綴られていくのなら、読んだものをこういうふうに受け止める者もいるのだということも知っておいてほしくてコメントをしました。
読んで心地良いかどうかというよりも、オダさんの文は心に波紋を投げかけます。
何も無かった水たまりに、ぽちょんと小石を落とすような。
それはゆっくり時間をかけて底へ底へと落ちていき、いつしか自分の深いところにとどまります。漫然と生きてる自分に気づきや思考を与えてくれるものです。良きにつけ悪しきにつけ。
そしてそういう感情を喚起させることは自分にはとてもできないことだし、そういう感覚と文章力を持ってるということに、読むたび感心してしまいます。同時にとても羨ましくも思います。
余震やら計画停電やら原発のことなど、まだ問題は山積してますが、関東の内陸部付近でこの騒ぎはだいぶ落ち着いてきました。
地震前の日常に戻っていこうという雰囲気も、少しずつ広がってきたように感じます。
そうしていつか、書かれているように、少しずつみんなの記憶から薄れていくことになるのかもしれません。
でも薄れても、完全に消えることなんて、たぶんない。
完全に消えない思いは、何かしらの形で光をともない、いつしか明るいほうに導き出されていくのだと思いたいです。
生きていくためには時に忘れたふりをすることも必要で、「前向き」なんて言葉を使うとありきたりだけど、今はそういうふうに生きていくしか術はない。
だからそのように生きてるだけで、人なんてほんとはそんなに単純じゃない。
多かれ少なかれ、どんな人間も考えて生きているわけだし、ブームとかムードに関係なく、他人を思う温かな気持ちは程度の差こそあれ存在する。
そう信じていたいです。
私も心のどこかで気にしつつ、復興を願いながらできることをできる場所で続けていこうと思ってます。
長文、大変失礼しました。
もし本意を取り違えていたらごめんなさい。
自分がもし逆の立場だったら、自分の書いたことに対してこんなに長々といろいろなことを書きつけられたらたまらんなぁと思いつつ、つい長くなってしまいました。
「そういうこと言いたかったわけじゃないんだがなぁ…」と顔をしかめたり、頭を掻かれたりする様子がなんとなく目に浮かばなくもないですが(笑)、とりあえず今自分が整理できて伝えたいと思っている感情をありのままに綴ってみました。
返事が遅くなってごめんなさい。
このブログの仕様のため、長らくコメントをいただいていたことに気付かなかったこと、気付いた後も忙し区、返事についてもどうしようか、と考えていて今に至ります。
みっちぇるさんがおっしゃることは、もっともだな、と、まずは思いました。
この日記のスタイルというか方向について、読んで気持ちいいものを目指したい、なんて書きつつ、意地の悪い書き方をしたのは、まずかったな、と思いました。読んで不快になる人もいるだろうな、と。
一方で、適切さ、ということは脇に置くと、自分の考えについてもみっちぇるさんのご指摘についても、どちらも成り立つというか、正しいと思っています。今回の地震と外国における事件や災害とは別物で、日本で多くの人がいろんな反応を示したことは、ある意味で当然の反応だと思います。あるいは国内の事件や規模の小さい事故や災害と、今回の地震は性質が異なるのかも知れません。でも僕は、「日本でこれだけ大きい震災と原発の事故が起きて、同じ日本人として、」という文脈での考え方に違和感があって、「そう考えるのは悪いことではないと思うけど、では外国でのこととか、同じ日本人でも不慮の事故とか事件に巻き込まれた人に対して、同じ反応をしないのはどうしてだろうか。」とも思うのです。個別の性質は、確かに違うけど、だからといって今回のことだけ特別なもので、他のことはそうでない、ということにはならないだろうし、という考えから、あえて挑発的な書き方で、今回のことを書いたのだと思います。
ただ、あの短い期間でいろんなことがわーっと起こって、それに対する自分のいらだちなどを半ば衝動的に書いてしまったのは、軽卒だったな、と思います。けっして特定の人を傷つける意図ではないのですが、結果的にみっちぇるさんを不快にさせてしまったとしたら、申し訳ないと思います。
蛇足というか言い訳めいた形になってしまいましたが、コメントを残したいと思います。
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