2011/02/06

なくてもいいもの/LEMONed

 なくても良かったけど、自分にとっては良かったこと、というものは結構ある。なくてもいい、というのは、或いは実用的とか、役に立つなどと言い換えることができるかも知れない。
 これまで、人から「オダさん、それって意味あるんですか?」「で、何の役に立つわけ?」などと訊かれることが多かった。役に立つかどうか、という視点自体が、そもそも備わっていなかったりするから、初めのうちは何と答えたものかどうか思案したものだが、そのうち、深く考えず、「ないです、何も」と答える様になった。

 人生は死ぬまでの暇つぶし、なんて云うつもりはまったくなくて、逆にどう生きるか、ということを考えた方がいいと思っている。どう生きるか、とは、ひとつひとつの行為それ自体が目的となること……手段ではなく、意味を持たず。例えば、小説を読むことは、何かを得るために小説を読むというわけではなく、小説を読む、ただそれだけの話で、そのことは別に異論はないと思うのだけど、哲学書とかになると話は違ってくる(最近は全然読めてないですが)。
「それっておもしろいの?」「何でそんなの読んでるの?」
 読みたいから読んでるんだけど、という答えでは、あまり納得してもらえないことが殆どだ。

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 なくても良かったけど、というものを3つあげろと云われると、いま思い浮かぶのは、浪人時代、一人暮し、音楽といまは答える。少し書いてみる。


・浪人時代
 高校時代はまったく勉強をしていなかったので、大学進学のために浪人をする羽目になった。3年生の途中から、「あ、これは浪人だな」と思って早々に家族に宣言した記憶がある。親からすればとんでもない話で、いまの自分が聞いても、それはないぜと叱り飛ばしたくなる話だが、当時の自分は仕方ないじゃないかと開き直っていた。
 大学に進みたいなら、相応のところを選ぶか、ちゃんと高校時代から勉強すればいい話で、浪人するなんて本当に意味がない。でも、あの抜き差しならない一年間はいまの自分を形作ったなァと思っている。しなくてもいいけど、して良かった、というか無駄にはなってないなという感じがある。
 でも経済状況とか、いろいろあるから、これは避けられるなら避けるべき状況ですね。

・一人暮し
 これも、しなくて済むならしないでいいことだと思う。お金がかかるし。でも何でも自分の責任においてやる、という生活は自分に合っていた。社会人になって一年お金を貯めてから実家を出て、2年間だけだったけど、本当に楽しかった。振り返れば、掃除はろくにしないし台所も滅茶苦茶で、ちゃんと生活をしていたとはとても云えないけれど、そこで得たものは多いと思っている。
 テレビもネットもない生活だったけど、全然不便を感じなかったです。

・音楽
 これはhideがインタビューなんかで云っていたことで、読んでいてハッと気付いたのだけど、音楽なんて本当になくても済む代物で、でも、音楽を聴いて人生変わっちゃう人もいるし、なんだかよくわからないものだ。
 いまでも、音楽がないと死んじゃう、と云う人とはあまり仲良くなれないかも知れないと思う一方で、音楽がないと、全然人生が違ってくるな、とも思う。依存するわけでもないけど、寄り添う、それくらいの距離感がある方がいろいろと楽だと思うのだけど、そうでない状況というのもあるのだろう。自分はしあわせなのかも知れないな。

2 comments:

sha said...

> 音楽がないと死んじゃう、と云う人とはあまり仲良くなれないかも知れないと思う一方で、音楽がないと、全然人生が違ってくるな、とも思う

これまったく同じだわ私。一応職業にしてるのに変かもしんないけど…

オダ said...

音楽とどう向き合っているか、ということが気になるのかも知れないね。
まあ、音楽に限らないけど、
何かに依存するような姿勢の人は、信用できない……、信用できないというか、自分とも向き合ってくれないんじゃないかというか。
んーうまく言語化できないけど。