実家には26歳まで住んでいた。と書いて、本当に26歳まで住んでいたのか不安になった。
就職していろいろな人と出会って、その人が誰と同期なのか、とわかっていると覚えやすいということもあって、「何年目ですか?」と訊くようになったのだけど、「あれ、オレ何年目だっけ?」と言う人が多くて驚いた記憶がある。でも、自分もだんだんと「あれ、オレはいま、就職して何年目だっけか?」と思うことが多くなり、記憶力ということもあるのだろうけど、何というか、いろいろなことがどうでもよくなってくる、ということなのかもしれない。憶えていなければいけないこと、憶えておくべきことを取捨選択する。すると、どうでもいい、と思えることが、存外、多い。
それで、ひいふうみい、と数えて、確かに26歳まで実家にいたのだと思い出した。それから2年ほどひとり暮らしをして、結婚した。結婚して3年目で、ことしの誕生日で31歳になる。あっという間だ。
実家にいた頃は、早く家を出たくて仕方がなかった。理由は、こう書いてしまうとひどく凡庸に響くが、自分でいろいろなことを決めたくなったのだ。自由が欲しい、ということもあったのだろうけど、それ以上に責任を持ちたかった。だから、結婚して、よく「自由がなくなるんじゃないの?」なんて結婚懐疑論者の人から言われることがあるけど、自分にとっては別にそんなことは大して重要じゃなくて、確かに自由度は減るかもしれないけど、責任はある意味においてはひとり暮らしの頃以上に重くなるので、そう考えると結婚生活は楽しい。
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この前の後輩の結婚式のあとに、何人かと二次会に行った。そこで、ひとり暮らしだと、自炊をしない方がリーズナブルだという話があった。コストという観点からすればそうなのかもしれない。でも、それって楽しいのだろうか。彩り、栄養、料理の中身についてはもちろん、食材の調達から調理から片付けまで、考えることは多い。それを組み立てる、というのは、生活の組み立て、の縮図とも思える。だから、コスト、ということだけで料理をしないというのは、なんだか自分にとってはひどくつまらない。
でも、最近、あまり料理ができていない。Yが実家に帰っていて、いまは実質ひとり暮らしのようなもの。でも自分もYの実家で食べさせてもらうことが多く、そうすると台所から遠ざかってしまう。料理をしないと楽かもしれない。でも、つまらない。
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David Lynchの映画は難解だと言われるが、そうだろうか。解釈しようとすると、難解、ということになってしまうのかもしれないが、絵画を観るようにして観ると、また、音楽を聴くようにして観ると、そうは思わないんじゃないだろうか。
『INLAND EMPIRE』を観て、思索に耽る。傍らには珈琲。
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